ラーマとラクシュマナはシーターを捜しながら森の中をさ迷っていると、突然後ろの方でものすごい音がしました。二人が振り向くと、巨大な妖怪が森の茂みから出てきました。妖怪は頭も足もなく、巨大な胴体に毛がいっぱい生えていて、胸の真ん中に目が一つだけありました。その胴体には恐ろしげな口があり、二本の白い牙が突き出て、牙の間から血をたぎらせた大きな舌が垂れ下がっていました。妖怪は二本の長い腕を使って獲物を捕り、口の中に放り込むのでした。二人は危険を感じ、妖怪の腕を振り払って逃げました。すると巨大な怪物は、「逃げないでくだされー!」と叫びました。そしてこう告げたのです。「私の名はカバンダと申します。かつては聖者の息子で美しい姿をしていたのですが、自分のうぬぼれと数々の悪行を重ねた報いとして呪いをうけ、妖怪の姿にされたのです。自分が蒔いた種を刈り取るため、私はこのハンディを背負った生活に耐え忍び、そして神を思いながら耐え抜いてきました。主ラーマよ、この呪いから解放されるために、あなたの神聖なお体に触れることをお許しください。そして祝福をください」神を慕い、神を呼び求めたカバンダは心の変容に至りました。ひたすら神を求めて自分の境遇に忍耐し、努力を続けてきた成果として、神の化身ラーマのご神体に触れることが許されたのです。そして、神の恩寵によってようやく呪いから解放されました。
カバンダの疲弊しきった心に安らぎがもどり、彼の中の神性が呼び覚まされると、妖怪カバンダの姿は天人ガンダルバに変わりました。「主ラーマよ、ここから真西に進んで行き、リシャムーカ山に住んでいる猿族の王スグリーヴァと友好を結んでください。スグリーヴァの協力によって、シーター様を取り戻すことができるでしょう。そしてリシャムーカ山に行く途中、聖者マタンガの庵を訪れれてください。そこで年老いたシャバリーという婦人が主ラーマの来訪をずっと待ち望んでおられます」天人ガンダルバはそう言い残すと、ラーマの御名を唱えながら姿を消しました。神の化身ラーマとの出会いは、カバンダに最高の幸運をもたらしました。